非結核性抗酸菌症 NTM
#皮膚科 #感染症 <参考>国試、牛木先生の外来、朝倉
Mycobacterium marinum感染症は皮膚に病変をきたす非結核性抗酸菌症の中で頻度が高い.皮膚の外傷から感染し,約2週間の潜伏期を経て発症する.M.marinumの増殖は至適温度が30〜33℃であるため,プールや熱帯魚の水槽などから感染する例が多い.皮疹は単発のこともあるがリンパ流に沿って拡大する場合や全身播種する場合もある.ヒトヒト間で感染しない
炎症が主。
浴室や土壌暴露が感染原因の一つか。よくわかっていない。HIV感染やTNF治療薬の使用など後天的要素と疾患感受性を規定する遺伝的要因が推測されている。(朝倉)
【疫学】
患者数は増加傾向。日本ではM.aviumとM.intracellulareを合わせたマイコバクテリウム・アビウムコンプレックスが最も多い。(朝倉)
【だれ】中高年の女性
【問診】
職業歴:水族館で飼育員として勤務
【症状】
初期は自覚症状に乏しい。無症状
慢性の咳・痰。ときに血痰
2ヵ月前から右母指に紅色結節が出現(→感染もしくは異物による反応)
手背と前腕にも同様の結節が多発(→感染の拡大,持続)
進行例では呼吸困難、体重減少(朝倉)
【身体所見】
coarse crackles
【検査】
ESRでフォローする
CXR:2病型がよくみられる(朝倉)
➀線維空洞影(20%):上葉。空洞性病変と浸潤影(COPDや陳旧性肺結核症などが背景にある喫煙男性)
②粒状影、結節影、気管支拡張(80%) :中葉舌区。基礎疾患のない中高年女性
喀痰検査(抗酸菌)
経気管支鏡検査(術前にPT,APTT,ECG,呼吸機能検査)
皮膚生検:類上皮細胞肉芽腫と非特異的炎症像が混在する.胞子状菌要素を認めない(→抗酸菌などの感染を示唆し,真菌感染は否定的)
真菌培養は陰性,小川培地で7週後に白色コロニーを形成(→真菌感染ではなく,結核菌感染症もしくは非結核性抗酸菌症を考える)
【鑑別診断】
結核、肺癌、アレルギー性気管支肺真菌症、アスペルギルス症 ABPA-M(空洞や結節を形成する)
気管支拡張症を呈する他疾患
【診断】
画像診断(他疾患除外)、細菌学的基準
【治療】
3剤併用療法
アジスロマイシンAZM(不整脈の副作用)、②エタンブトールEB(視神経炎の副作用)、➀リファンピシンRFP
マクロライド系抗生物質:③クラリスロマイシンCAM(耐性化する)、エリスロマイシン(耐性化しにくい。炎症を抑える)
必要に応じてアミノグリコシド系。アミカシン